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「共感」が伝わる英語とは?サティア・ナデラの話し方に学ぶリーダーのビジネス英語術

2025.06.24
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マイクロソフトのCEOであるサティア・ナデラ氏は、単なる技術的リーダーにとどまらず、そのリーダーシップとコミュニケーションスタイルにおいて大きな影響を与え、マイクロソフトのCEO就任から10年で企業価値を10倍にしました。

彼はどのようにしてマイクロソフトの勢いを復活させ、企業文化を刷新したのか。

その一因は、彼の「共感」に軸を置いたリーダーシップであり、「共感」の力はその話し方からも見て取れます。

ここでは、ナデラ氏のいくつかのインタビューからその話し方の特徴を読み解き、ビジネスパーソンの英語コミュニケーションでの応用を目指します。

共感とは?

まず、共感とは何かと言う点を整理します。

共感とは、他者の感情や考えに理解を示し、その立場に立って感じることです。単なる理解にとどまらず、相手の視点を理解し、感情的に共鳴し、その感情を自分自身のものとして感じることを意味します。

ビジネスでの「共感」のスキルとは?

他者(同僚、クライアント、顧客、チームメンバー、部下など)の感情やニーズを理解し、適切に対応する能力です。

様々なバックグランドを持つ人が、様々な利害関係で働くビジネス環境では、特に「共感」を示すことが関係構築や問題解決において非常に重要です。

「共感」を表す empathy / sympathy / understanding の違い

英語で「共感」を表現する場合の英単語とその違いについてご紹介します。

Empathy 他者の感情や状況を理解し、共鳴する能力。
Sympathy 他者の痛みや困難を理解し、同情すること。やや一方的な感情表現。
Understanding 他者の立場や感情を理解し、受け入れる能力を示す。

上記のように、ビジネスで「共感」スキルという場合は、sympathy ではなく、empathy や understanding の力と言えます。

ナデラ氏の話し方から、どのように「共感」が伝わってくるのか、見ていきましょう。

1. パーソナルストーリーとビジネスメッセージの融合

ナデラ氏の話し方(構成)の特徴として、パーソナルストーリーを交えたビジネスメッセージが挙げられます。

彼のインタビューでは、自身の経歴、個人的な体験やエピソードがビジネスの話題とリンクして語られます。

例えば、Axel Springer Awardでのインタビューでは、彼が愛情を注ぐスポーツであるクリケットの話題からスタートし、スポーツから学んだチームワークやリーダーシップの重要性を、マイクロソフトでの経営にどう活かしているかを語っています。

多くの人が経験したことがあるスポーツという身近な話題を取り入れることで、彼のメッセージは聴衆にとってより親しみやすく、「共感」を呼びやすくなります。

同様に、家族や自身の職場での経験に関する話題も、ビジネスの核心に触れる前に取り上げられており、聴衆はナデラ氏の人間性に触れて、その人間としての魅力を多いに感じ取ることができます。

理論やテクニックを単に示したり、理念を強く強調するのではなく、実際の経験や感情に基づいた話だからこそ、より心に響き、共感を得るのです。

2. 「前」と「後の」の比較で分かり易く説明 –「共感」に対する認識の変化

ナデラ氏はインタビューで、「共感はソフトスキルではなく、最も難しいスキルである」と語っています。

I don’t think empathy is a soft skill. In fact, it is the hardest skill we learn, to relate to the world, to relate to the people that matter the most to us. In fact, innovation is about meeting the unmet, unarticulated needs of customers. What’s the source of that? Some would say design thinking. But design thinking is empathy. – I would say it’s actually a very important business skill.

この言葉は彼のリーダーシップ哲学の核を成すものであり、彼がどう「共感」を実際のビジネスに活かしているかを理解するための重要なキーワードとなっています。

ナデラ氏は以前、共感を単なる知識や理解のレベルで捉えていたと語り、その考え方が変わったことを「Before / After」で表現しています。

  • Before: 頭で理解すること
  • After: 本当に感じること、実際に行動に移すこと

この変化の起点を、彼は、息子のZainさんが重度の脳性まひを持って生まれたこと話しています。

(Before)それまでは、「他人の気持ちを理解する」ことが共感と考えていましたが、
(After)息子を持ち、息子の視点でモノを見る中で、「人の立場で世界を感じ、行動すること」が共感だと考えるようになりました。

1.で前述したパーソナルストーリーを使いつつ、Before/After の構成で話をすることで、コアメッセージがより分かり易く表現されています。

Before/After の変化を通して、共感がリーダーシップにおいてどれほど重要であるか、そしてそのスキルがどれほど難しいものであるかが伝わります。

3. シンプルな言葉選び

ナデラ氏はその立場からも、非常に技術的で複雑な概念や言葉を操ることが多いはずですが、可能な限りシンプルな言葉で本質を伝えようとしています。

インタビューはどれもIT業界外の人達が視聴できる番組でのものなので、業界で使われる難解な言葉を極力避け、わかりやすく、直感的に理解できる言葉を選んでいます。

難しいことを簡単に説明するのは、非常に難しいことですが、この話し方(シンプルな言葉選び)にも、「人の立場で世界を感じ、行動すること」が現れています。

4. ポジティブな言葉選びと笑顔やジェスチャーで雰囲気作り

ポジティブな言葉を選び、良い雰囲気を作り出しています。
インタビュアーの質問に対しては、しばしば”It’s a great question.” や “That’s a fantastic point.”など、相手を尊重する言葉を返しています。こういったポジティブな返答は、建設的な対話を促進するのに役立ちます。
また、インタビューの多くの時間で、柔和な表情や笑顔が目立ちます。大げさなアクションは少なく、同調を示すジェスチャーや拍手などを交え、相手を尊重する態度と穏やかで包み込むような雰囲気と余裕が感じられます。

ナデラ氏の話し方から学ぶ。「共感」を得るビジネス英語コミュニケーションの6つのポイント

ポイント1: 相手目線で状況・課題に触れる

相手が抱える典型的な課題やニーズ、関心のある背景から話を始めます。
「共通体験」や「共通の目的」に触れると心の距離が縮まります。
例:In today’s fast-paced business, it’s not uncommon to feel overwhelmed by constant digital change.

ポイント2: 自分の経験(ストーリー)と繋げて共感を示す

自分も問題に直面していた、またはお客様にこんな方がいた、という形で「経験」と共感を結びます
例:I worked with a client who struggled with exactly that — they had the tools, but adoption was a real challenge.

ポイント3: Before / After を取り入れて、効果を想像できるように話す

「それを導入したり、実践することでどんな変化が起こるか」を直感的に理解できるように話します。
変化のビフォー・アフターをストーリーや場面の違いで示せば、具体的で説得力が出ます
例:(Before) Cross-functional teams rarely communicated, leading to duplicated work and delays. (After) Since adopting collaborative tools and agile ceremonies, project delivery has become faster and more aligned.

ポイント4: シンプルでわかりやすく

相手が直観的に理解しやすい言葉を選びましょう。ナデラ氏が複雑な内容を“人の目線”で語るように、技術や制度も相手の目線を意識して伝えると効果的です。
例えば、サービスについて説明する場合は、機能や特徴よりも、相手が得る価値を中心に伝えます。
例:
❌ We offer cloud-based workflow automation tools with multi-device support.
✅ We help your team reduce manual work and focus on what really drives your business.

ポイント5: ポジティブな言葉選び

ポジティブな言葉の選び方は相手との信頼関係を築く上で非常に重要です。
たとえ相手反対意見や事実と異なる情報を出してきても、相手を否定するのではなく、「理解しようとする姿勢」と「前向きな伝え方」を意識することで、対話の質が大きく変わります。

✦ 避けたい表現

• “But…”(でも)
• “Unfortunately…”
• “You’re wrong.”

✦ “理解を示す”フレーズ

I see where you’re coming from. 相手の立場を尊重していると伝える
That’s a valid point. 相手の意見に価値があることを認める
I understand why you’d feel that way. 共感しながら意見の違いを受け入れる
Thanks for pointing that out. 指摘を歓迎する姿勢を示す

✦ 否定を避けて前向きに言い換える

But we can’t do that. → That’s a great idea — let’s explore how we could make it work in another way.
That’s not possible right now.  → We’re not there yet, but we’re working toward that direction.
There’s a problem.  → There’s an opportunity for improvement here.

✦ 会話を柔らかく・建設的にするポジティブな導入語

That’s a great question.
I’m glad you brought that up.
Here’s one way we could approach it.
I know how you feel.
I understand your concern.

ポイント6: 落ち着いた態度、笑顔で余裕を示す

感情をコントロールし、落ち着いた態度と笑顔で、余裕を示しましょう。

相手に対して見せるモノでもありますが、笑顔を保つことは、自分自身の緊張を和らげ、気持ちをコントロールすることにも繋がります。

共感を軸にした話し方が、信頼と成果を引き寄せる

サティア・ナデラ氏の話し方から学べるのは、「共感」を軸に相手の心を動かすメッセージを届ける力です。

• パーソナルストーリー
• シンプルかつ価値に焦点を当てた表現
• ポジティブな言葉選びと、相手への敬意
• 感情を抑えた穏やかな表情や姿勢

こうした話し方は、単なるスピーチ術ではなく、実際のビジネスや提案、チームマネジメント、顧客対応のすべてに応用できる「実践的な対話力(コミュニケーション力)」です。

英語が上手かどうかではなく、相手の視点に立ち、伝える力と聴く力をバランスよく持つことが、グローバルな環境で信頼を築く鍵になります。

アットイングリッシュで「英字新聞記事 × 大人の話し方」で実践力を育成

アットイングリッシュでは、英字新聞記事を素材に、共感力を伴った「大人の英語の話し方」をトレーニングできます。

たとえば:
• 社会的なテーマを扱った記事から、相手の立場に配慮した意見の伝え方を学ぶ
• 国際ニュースを題材に、Before / Afterの構成で自分の視点を述べる練習をする
• 相手の誤解を否定せずにやんわりと方向づける言い回しを習得する

ただ英語を練習するのではなく、ネイティブスピーカーと共に、聞き手に「伝わる」「納得される」「共感される」話し方を身につける。それが、アットイングリッシュの提供する英語トレーニングです。

ビジネス英語コミュニケーション術

ビジネスで「共感」を示すのに活躍する英語フレーズ

  • I can understand how you feel.
    あなたの気持ち、分かります。

  • I completely get where you’re coming from.
    どうしてそう考えるのか、本当によく分かります。

  • That must be really tough for you.
    それは、すごく大変でしたね。

  • I can see why that would be frustrating.
    なぜイライラするのか、よく分かります。

  • I understand this must be challenging for you.
    これは大変なことだっていうことは、分かっていますよ。

  • I totally agree with your point of view.
    あなたの考えに全面的に賛成です。

  • I know how important this is for you.
    これは、あなたにとってとても大切なことですよね。

  • I can imagine how difficult this situation is.
    この状況がいかに大変か、想像できます。

  • It sounds like you’re really dealing with a lot right now.
    本当にたくさんの課題に対処しているんですね。

  • I see why you’re concerned about this.
    何を心配しているか、分かりますよ。

  • I can relate to what you’re saying.
    あなたが言っていること、分かります。

  • That must have been a tough decision for you.
    それは、大変な決断でしたね。

  • I can appreciate how you feel right now.
    どう思っているか、よく分かりますよ。

  • I can understand the pressure you’re under.
    大変なプレッシャーですね。

  • I hear what you’re saying, and I understand why it’s important.
    言っていることがわかりますし、それがなぜ重要かも分かります。

  • Please feel free to share anything on your mind.
    何でも遠慮せずに話してくださいね。

  • I’m here to help you with anything you need.
    必要なことがあれば、いつでも手を貸しますよ。

  • Don’t hesitate to reach out if you need anything.
    何かあれば遠慮なく連絡してください。

  • I’m happy to listen to anything you’d like to discuss.
    話したいことがあれば、何でも聞きますよ。

  • You’re not alone in this, I’m here to support you.
    一人じゃありません。いつでもサポートしますよ。

参照:
MICROSOFT CEO SATYA NADELLA – “Empathy is a very important business skill” | Axel Springer Award

https://www.youtube.com/watch?v=eM-VmSwEU-I&t=976s

Satya Nadella is building the future

https://link.chtbl.com/N511MHfR

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