オンライン英会話では、フィリピン人やバイリンガルの日本人の先生など、非ネイティブが講師のスクールと、アメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリアなど、いわゆるネイティブスピーカーが講師のスクールがあります。
フィリピン人の先生のスクールは低価格である場合が多く、たくさん英語を喋る機会を持ちたい人にとって大変魅力的です。また、日本人の先生の場合は、日本人の英語の傾向と癖をよく理解する日本人の先生だからこその良さがあります。
ネイティブ講師については、発音・リズムの綺麗さ、文法の正確さに対する安心感など、選ばれる理由は色々あるでしょうが、今回は、少し別の観点から見た、大事なポイントをご紹介します。
目次
英語と日本語での話し方の違い
海外へ、手紙や葉書、郵便物を送られたことはありますか?
英文レターの場合、宛て先には、まず相手の名前を書き、番地、通りの名前、市町村、州と書き進んでいきます。
一方、日本では、その順序は逆で、都道府県名、市区、番地、そして、最後が名前です。
英語圏では、宛先人名から徐々に大きなエリアへとズームアウトし、日本語では、大きなエリアから最後に宛先人名へとズームインします。
この物事の捉え方、表現の仕方の違いは、何も、住所の書き方に限った話ではありません。
これについて、日経新聞のコラムの中で、東京大学の西成活裕教授が、「英語と日本語での話し方の違い」として、書かれた事があります。
教授は、「英語では「ズームアウト」、日本語では「ズームイン」、ということに気づいてから英語が楽に話せるようになった」とおっしゃっています。
日本語で話すときは、郵便の宛先表記と同様に、周辺から固めていき、最後に内容の核心部分へ「ズームイン」しますが、英語で話すときは、まずは核心部分を端的に伝え、「ズームアウト」しながら周辺状況を説明していきます。
考え方の順序がまったく逆なのです。
英語は正しいのに、うまくコミュニケーションが取れない?
時々、英語の文法の正確さにこだわって学習し、TOEICの点数も800点、900点台のスコアを取っているのに、「英語での会話となると、なぜか上手くいかない」という声を聞く事があります。
これは、単語やセンテンスの中での文法事項が極めて正確であっても、日本語と同じズームインの会話構成で話されては、英語圏の人達にとっては核心部分が分かりづらいという事が原因の一つとしてあります。
また、理解を形成するプロセスの順序がそもそも逆なために、言っていることは分かるけれど、「納得できない」「共感できない」「心が動かされない」という事になってしまうこともあり得ます。
逆に、正確性は多少低くても、住所表記の順番と同じように、ズームアウトのルールが守られていれば、どこで何が話されていて、次に何がくるのか予測しながら聞けるので、英語圏の人にとっては、のみ込み易いものとなります。
ビジネスで必要な英語力は、聞き手の共感を得る「伝える力」
ビジネスの中でコミュニケーションを取る時、ズームインで話すのとズームアウトで話すのとでは、成果に大きな違いが出ます。それは、話し方(順序)によって、相手の頭への入り方と、それによって得られる共感が断然違ってくるからです。
ビジネス英会話を習得するということは、相手に共感される「伝える力」を磨くことです。
ネイティブスピーカーを英会話の講師として選ぶ効果は、「英語の正しさ」という点だけでなく、英語圏の人に自然に受け入れられる、共感される話し方を学べるという点にあります。
ネイティブ講師から、体系的にビジネス英会話の「伝える力」を習得
なお、このズームアウトの手法(話法)は、アットイングリッシュのビジネス英会話コースEBCで練習する内容の一つでもあります。
特に、会議やプレゼンテーションをテーマとするモジュールで、このスキルを体系的に磨けるようデザインされています。
ビジネス英会話コースEBCで練習しながら、英字新聞記事でディスカッションをされている方々のコメントが、ネイティブ講師たちから日本人スタッフへ、よく引用され、報告で上がってきます。それは、ズームアウトの手法を効果的に使って、講師たちの納得や共感を上手に作り上げているからでしょう。