ビジネス、経済、テクノロジー、文化、生活、法律など、時事問題から最近の生活情報まで、ネイティブ講師とオンラインで議論するアットイングリッシュの英会話レッスン。
今週からスタートするのは、「テロ事件調査と個人情報保護優先されるのはどちら?」という話題です。英語でディスカッションする際のポイントを幾つかご紹介いたします。ここでのディスカッションの組み立てや、使われる英語表現が、実際のビジネスでの会議でもお役に立てれば幸いです。
<この議論での英語表現>
ネイティブ英語でセンスよく表現!例文集1:テロ捜査と個人情報保護
ネイティブ英語でセンスよく表現!例文集2:テロ捜査と個人情報保護
目次
【オンライン英会話の議論の概要と紹介】
(ビジネス英語のヒント2016年9月8日号より編集)
Apple の iPhone7 が発表されましたね。
iPhone6s のユーザーである私としましては、あまり変わって欲しくない、という気持ちもありつつ、それとは別に、新しい機能で、新しいライフスタイルを見せて欲しい!とも思う、ちょっと複雑な気持ちです。
購入は、周囲の人たちが使い始めて、その感想を聴いてから考えようかと思っています。
それに因みまして、今回の話題は、Apple 関連の記事です。
Apple vs FBI 。
2016年2月にアメリカで、法廷にまで持ち込まれた、「テロ事件調査と個人情報保護、優先されるのはどちら?」という議論についての記事です。
東京オリンピックを前に、社会のセキュリティ強化が図られている日本でも、他人事ではなくなってくるかもしれません。
ちなみに、過去のセッションでは、個人情報保護を優先するAppleを支持するご意見が圧倒的に多かったようです。
でも、今、議論したら、どうなんでしょう。
それにしても、すごいですよね。
お金の流れが一目でわかる銀行口座は、警察の捜査で銀行に開示を求められるのに、スマートフォンのデータは見れない、って。
最近のスマートフォンには、それだけ大切なものが入っているということでしょうか。
【オンライン英会話で行う議論の内容】
テロ事件の調査と個人情報の保護、どちらが優先されるべきでしょうか。
2015 年12 月にカリフォルニアで起きた銃乱射事件の容疑者が所持していたiPhone のセキュリティの解除をめぐって、FBI とApple が対立しています。
容疑者はIS から影響を受けていたことがわかっており、共謀の可能性など事件の全容を解明するためにFBI はApple に、セキュリティを解除できるソフト開発を依頼しましたが、Apple は拒否しています。
解除ソフトを作れば、他のケースで使われる恐れがあり、またIT 企業は、以前、米国国家安全保障局NSAの盗聴に協力していた際、強く批判された経験があるため、Google やTwitter もApple を支持しています。裁判所の判断もカリフォルニアとNY では割れているようです。どのように考えるべきでしょうか。
【オンライン英会話での注意点と、学びのポイント】
では、まずは注意点からです。今回、FBIとAppleが争っているように見えますが、一体何を巡って争っているのでしょうか。
一見すると、銃乱射事件の背後関係を捜査するFBIは、事件解決、治安維持をめざす国家権力で、Appleはあくまでプライバシーを尊重する私企業です。では、これは治安維持vsプライバシーの尊重 という議論、または国家権力vsプライバシーの尊重という構図なのでしょうか。両方に大義があるのはわかりますが、よく考えてみると、同じような話しはどこにでもありそうです。例えば、犯罪が起こったときに、その犯人の携帯電話の履歴を調べたり、銀行口座の動きを確認することは、そんなに珍しいという印象を受けません。国家権力とプライバシーの対立という点においては同じはずです。では、なぜ、今回はこんなに揉めているのでしょうか。図解してみると、構図がわかり易くなります。
これは、ビジネス上の争いでも同じですが、何vs何という、わかり易いシンプルな構図には、なかなかならないということです。国際会議などでも、国家間、企業間、そして、各国の支社ベースですらも、対立の構図が複雑になることは珍しいことではありません。そんな状況では、図解が有効です。
【学びのポイント】複雑な構図を丁寧に描いてみる(ビジネスでも同じ)
この論争においては、FBIは今回のiPhoneのセキュリティ解除を他の件でも使うことを示唆していますし、集められる情報をできるだけ自由に集めたいというスタンスにも見えます。一方、Appleは、自社製品のユーザーの情報が国家権力に自由に流れるような印象は付けたくないでしょうし、更に言えば、中国を含めて、アメリカ以外の市場で、FBIが情報を抜き取り放題のデバイスを販売している、または、アメリカの捜査当局から要請を受ければ直ぐにユーザーのプライバシーを渡す企業というイメージが付くことは避けたいのかもしれません。図で示していくと、双方の目的や譲れない利益などが見えてきます。そして、大切なことは、どちらが正しいか、ということを判断しようとするのではなく、双方が主張していることを丁寧に並べて、それが論理的、合理的かどうか、そして、そこにどのような思惑があるのか、を考えてみましょう。
ビジネスのケースで言えば、全体的にはこちらの主張が論理的に筋が通っているが、この部分だけは筋が通っていない、というような、総論と各論とで分けて考えなくてはいけないケースもあるはずです。これも図解ができていると、やり易いです。
ネイティブ講師による、オンライン英会話の@English(アットイングリッシュ)では、ディスカッションを通じて、ネイティブならではの英語フレーズや話し方をトレーニングするカリキュラムをご用意しています。
無料の体験レッスンもありますので、ぜひ一度お試しください。
【まとめと、論点】
1.2015 年12 月にカリフォルニアで起きた銃乱射事件の容疑者が所持していたiPhone のセキュリティの解除をめぐって、FBI とApple が対立した。
2.対立は、法廷闘争にまで発展し、また、他のIT企業や世論も注目する問題となった。
3.議論の構図は複雑になることがある。意図や思惑も考えて、図解してみると整理がつく。ビジネスでも、複雑な関係を理解、考察する際には図解が有効。
4.図解した結果を、単に、どちらが正しいか、という観点で判断しようとするのではなく、双方の主張を丁寧に並べ、それらが、論理的、合理的かどうか、そして、そこにどのような思惑があるのか、を考えてみる。
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2016年12月18日編集