グローバル市場での成功は、企業の収益向上と生き残りに直結しています。多くの日本企業が国際市場への進出を強化する中、そこで活躍できる、英語など語学に強い人材が、一層求められています。
目次
企業が求めるグローバルな人材とは?
総務省が発表した「グローバル人材育成の推進に関する政策評書」では、グローバル人材について
「グローバル人材とは、確かな専門分野の知識・技能を持ち、積極性、コミュニケーション力、統率力などのリーダーシップ資質を兼ね備え、自己の文化的アイデンティティーを深く理解しており、外国語を流暢に運用する能力があり、国内外のプロジェクトを成功に導くことができる人材」
と説明しています。
そして、同じく総務省が発表した「グローバル人材の確保状況等に関する企業の意識調査」によると
海外事業に必要な人材は約7割の企業が不足していると回答しています。特に、国内ノウハウを持つ日本人や新卒者の採用は多いものの、海外の外国人の採用は少ない状況です。
新卒採用については、約5割の企業が新卒採用者のグローバル人材としての評価が過去10年間で増加していると回答し、大企業ではこの比率がさらに高いですが、中小企業では約3割に留まっています。
また、語学力やコミュニケーション能力は向上していると考えている企業が6割程度ですが、主体性や異文化理解については、向上を感じている企業はそれぞれ約3割と約5割にとどまっています。
多くの企業がグローバルな人材の不足を感じており、特に海外で活躍できる人材の獲得が急務です。
グローバルなビジネスシーンで活躍できる人材に必要なモノとは?
グローバルなビジネス環境で成果をあげるには、どんな要素が必要なのでしょうか?
グローバル人材に必要な資質については、各社の事業内容や戦略、目指す市場に特化したスキルや知識が求められるため、それに適したグローバル人材の定義を各社で設定すると良いと思いますが、アットイングリッシュが考える要素は、以下の5点です。
Leadership(リーダーシップ。他人も巻き込んでの効果の最大化)
Diversity & Inclusion(ダイバーシティ&インクルージョン)
Goal Oriented mindset(成果をきちんと追い求める、目標指向性)
Compliance(異なる法体系の環境でも、法令順守)
Proficiency in English communication(熟達した英語コミュニケーション力)
Leadership − 人巻き込み、チームを動かすリーダーシップ
グローバル人材にとって人巻き込み、チームを動かすリーダーシップは、国際的な環境で効果的に機能するために不可欠です。
グローバルな環境で、さまざまな文化的背景を持つ人々がチームとして働けるよう、異なる価値観や視点を尊重しつつ、オープンなコミュニケーションを促進し、チームメンバー間の理解と信頼を深める力です
リーダーシップスキルをもって、様々な背景を持つ人が参加するチーム全体を巻き込むことで、多角的なアプローチが可能となり、競争力のあるソリューションが生み出されます。
異なる視点を持つ人々に積極的に参加してもらう環境を作ることで、グローバルな動きや変化、予期しない問題やリスクを早期に発見、対処することが可能になります。
Diversity and Inclusion− 異なる文化や価値観を受け入れる包容力
チームのメンバーは、自身を尊重され、意見が聞かれる環境で自己肯定感と充実感を感じ、より良い仕事が出来ます。異なるバックグラウンドを持つ人々の多様な視点を受け入れ、組み合わせる中で、より創造的で革新的な解決策を生み出すことになります。
また、自分が異なる文化や価値観の環境に飛び込んだ時には、相手の価値観や文化、状況を理解しながら、自分の主張を発信し納得してもらい、気持ちよくビジネスを進めることにも繋がります。
Goal Oriented mindset−成果をきちんと追い求める、目標指向性
グローバルな環境では、多くの変数がからみあい、状況が刻々と変化することがあります。目標指向の姿勢を持つことで、個人やチームは、周囲の混乱に惑わされることなく、重要なタスクや戦略的な目標に集中できます。
Compliance−異なる法体系の環境でも、法令順守
グローバルなビジネス運営において、法的なリスクを避け、組織の持続可能性を保証するために不可欠です。コンプライアンスは企業の信頼性を保ち、国際市場でのビジネスの正当性を確立するので、これが欠けていたら、他の要素がいかに優れていても、価値を持ちません。
Proficiency in English communication−熟達した英語コミュニケーション力
英語の基礎力の上に、情報伝達・協力の促進・関係構築などのため、英語の4技能(スピーキング・リスニング・リーディング・ライティング)、表情、ジェスチャー、間など、あらゆる人間的なコミュニケーションを効果的に駆使するスキルが必要になります。
これらの要素は、もちろん、各人がもともと持っている素養もありますが、様々な経験や仕事の中で培い、修得できるスキルです。
グローバル人材を獲得する方法 – 内部育成 と 採用
企業におけるグローバル人材の確保には、新卒採用と既存人材の育成の両方が重要です。先の総務省の調査のとおり、新卒採用におけるグローバル人材としての評価は過去10年間で増加していますが、特に中小企業ではこの比率が低いままです。
そこで、内部育成です。既に専門的知識や技術を持っている社員・メンバーに、必要な要素を身に着けてもらうことで、会社に貢献している人材のポテンシャルを最大限に活用できれば、早く、効率的に組織全体の能力を向上させることができます。
特に英語の知識は、学校教育で少なくとも3年、大卒であれば10年学んでいます。
外部から英語が出来る人を採用して専門性的な知識や資格、考え方や精神を育てるより、それを既に持っている社内の人材に英語スキルとコミュニケーション力を付けてもらう方が、はるかに効率的です。
英語が出来るのに、うまく使えない状況
20年以上、ビジネス英会話業界で動向を見て感じるのは、ビジネスパーソンの英語力の全体的なレベルは確実に上がってきているということです。上にご紹介した、総務省が発表した「グローバル人材の確保状況等に関する企業の意識調査」で、「語学力やコミュニケーション能力は向上していると考えている企業が6割程度」という感触も、うなずけます。
それでも、TOEIC等の英語テストで高スコアを取れるものの、実際のビジネスの場では、依然として英語コミュニケーションに問題を抱えたり、感じている方が多いのもよく理解しています。
TOEIC800点、900点取っていて文法的に英語で話していても、相手と場所と目的に合った使い方を知り、使い慣れて自分のモノにしなければ、チームで良い関係を作って、プロジェクトを進めることは出来ません。
英語を高度に操る人たちの20の英語コミュニケーション術
以下は、英語を高度に操る人達の技術のうち、20項目をリストアップしたものです。これらに目を向けると、英語のテストでは測れない、英語コミュニケーションの伸びしろが確認できるはずです。
1. アクティブリスニング – 有効なコミュニケーションの基礎で、相手の話を正確に理解するために必要。
2. フィードバックを受け入れ、提供する – 双方向コミュニケーションを、より効果的にします。
3. 共感を表す力 – 相手の感情や立場を理解し、信頼関係を築く。
4. ポジティブに言い換えて表現する – 建設的で前向きなコミュニケーションを行うために役立ちます。
5. 意見の言い方に強弱を持たせる(自信の強弱を表現する) – 会議などで説得力を持って自己表現をするために非常に重要です。
6. アサーティブな表現(怒るのではなく、毅然と話す) – 自己の意見を尊重しながらも、相手を尊重するバランスをコントロール。
7. 異論に対する対応 – 意見が分かれた時にも効果的に対処できる語学スキルと気持ちのコントロール。
8. 順序を考えて整理し、論理的に話す – 情報を整理し、聞き手が理解しやすいように伝えます。
9. 聞かれていることからポイントを外さない – 質問や話題に対して的確に応答します。
10.合理的で迅速な返答 – コミュニケーションの流れをスムーズに保ちます。
11.センシティブな単語の取捨選択 – 社会的な感受性を持って言葉を選ぶことが大切です。
12. 国や文化に配慮した話題の選別 – グローバルな環境では必須のスキル。
13. ストーリー展開をさせる – 聞き手の関心を引き、メッセージを鮮明に伝える。
14. 心に響く情景描写 – 言葉に情熱や感情を込めて伝える。
15. 主語の取り方を変える(You や I を多用せず、客観的に話す) – より客観的なコミュニケーションで、責任や原因の所在を特定しすぎない。
16. 疑問形を効果的に使う – 対話を促進し、相手の意見や感想を引き出す。
17. 相手の話、興味、時事問題などへの話題のリンク – より高度で知的なコミュニケーションを行う。
18. 笑顔とユーモア – リラックスした雰囲気を作り出し、より良い関係を築く。
19. 婉曲的な表現 – 直接的すぎる表現を避け、柔らかく伝える。
20. 格調高い(sophisticated)表現を使う – 深みのある知識や教養を表現し、エレガントに。
誰でも、英語の知識は持っています。
それをビジネスの効果に結び付けるには、話し方を変えることです。
ビジネスコミュニケーションでの約束事、国際間のコミュニケーションへの応用の仕方を身に着けて、成果を出していきましょう。