近年、様々な日本企業が社内公用語を英語に切り替える動きを見せており、その影響や成功事例に注目が集まっています。
楽天株式会社はその先駆者で、2010年に社内公用語を英語に切り替え、グローバルなビジネス環境に対応するための基盤を構築してきました。今では、世界の企業やパートナーとの円滑なコミュニケーションが可能となり、Web3.0関連の協業などの成果を上げています。
ユニクロを運営するファーストリテイリングも、2012年に社内公用語を英語に切り替えています。
また、マネーフォワード株式会社は、海外からの優秀なエンジニアを積極的に採用するため、エンジニア部門で公用語を英語に切り替えています。
この記事では、日本企業の英語の社内公用語化の効果やデメリット、具体的な導入・サポート方法などを解説します。
社内公用語を英語にする理由とメリット
英語を社内公用語にする企業が増えています。そのメリットとして、以下の点が挙げられます。
1. 世界のトレンドや情報を社員全体で、早く大量に入手して、対応
世界の動きを伝えるニュース、動画、記事の多くは英語なので、情報をいち早く得るには、英語でそのまま受け取るのが最速です。そしてグローバルに、より早く対応するためには、英語で対応・発信するのが一番です。
2. 海外から優秀な外国人人材を得る
高いスキルを持つ人材を、海外から確保し、グローバルにビジネスを展開させるためには、英語をはじめとした外国語での円滑なコミュニケーションが不可欠です。社内で常にその練習を重ねることで、客先とも、より良い関係を築くことが出来ます。
3. 少子高齢化の中での人材確保
パーソル総合研究所の調査(労働者の未来推計2030)によると、2030年には実に644万人もの人材が不足するとされています。
少子高齢化により、外国人材の受け入れとその活用は必然で、よりスキルの高い外国人材に日本企業を選んでもらうには、彼らにとって、働きやすい職場を用意することが必要となります。
優秀な外国人人材にコミュニケーションの壁やストレスなく働いて、才能を発揮してもらう環境を整えられるという点でも、社内公用語を英語にすることは大きな役割を果たします。
4. イノベーション
様々な文化や背景を持つ人々が集まれば、より型破りで面白いアイディアが生まれます。
社内公用語を英語にする際の問題点(デメリット)
社内公用語を英語にすることのメリットは多いですが、もちろん以下のようなデメリットもあります。
1. 社員の負担
英語での日常業務は、日本人社員にとっては、精神的なストレスになる場合があります。これが理由で就職先の選択肢から除外したり、退職の理由になる可能性もあります。
2. コミュニケーショントラブルと業務効率の低下
細かいニュアンスや気持ちの機微が伝わりにくく、職場での人間関係を築く際の障害になる場合があります。また、情報や感情の伝達トラブルは、業務効率の低下に繋がります。
3. 教育コストの増加
社員の英語力向上のために、教育や研修にかかる時間と費用コストがかかります。社員の側も、英会話力向上の為に、時間とコストをかけることになります。
4. 時間がかかる
英語公用語化は必ずしも即効性のある施策ではありません。口頭でのコミュニケーションだけでなく、システムや、データも英語に対応する必要があり、それだけでも時間がかかります。
社員のコミュニケーションの英語化+事務面での英語化が必要で、実際に効果が現れるまでに時間がかかり、短期的にはビジネスの成果に結びつきにくいという面もあります。
英語の社内公用語化 3つの導入パターン
英語を社内公用語とするといっても、全社的に全て英語にする会社ばかりではありません。おおよそ、3つのパターンに分かれるようです。
1.「全社」での英語公用語化
楽天グループ株式会社や株式会社ファーストリテイリングは、2010年に英語公用語化を発表し、2012年に完全に英語を社内公用語としました。
中途採用では、楽天はTOEIC 800点以上、ファーストリテイリングはTOEIC700点以上を目安としているようです。
2.「特定の部門のみ」での英語公用語化
資生堂のように、海外各拠点の統括を行う本社部門の公用語を英語とするなど、特に必要な部署や部門のみで採用するパターンもあります。
この方式は導入と取り組みのしやすさから、現状、トレンドとなっています。
3.「海外企業の傘下に入った」ことによる英語公用語化
シャープや日産など、海外企業の傘下に入った会社は、社内の外国人比率が高まることから、実質的に英語での会話が主になっています。
英語を社内公用語にする際のステップ – 英語研修を活用
1. 理由・目的・方針を明確に伝える
社内での取り組みには、まずは社員の理解と賛同が必要です。社員に、目的とゴールを理解してもらい、そのための期間やサポート体制などについて説明し、同じゴールに向かって前向きに取り組む体制を作ります。そのためには、リーダーの強い信念とリーダーシップが必要です。
2. 移行期間を設ける
社内でのコミュニケーションの言葉が変わるというのは、かなり大きな変化です。
目的やゴールを設定・共有し、それをサポートする教育体制を整えても、全面的にすぐに変えるというのは社員の負担が大きく、業務が滞ることも想定されます。
少しずつ、時間をかけて導入し、その中で浮彫りなる課題があれば、都度丁寧に対応して、英語の社内公用語化を図りましょう。
3. 英語のサポート体制を作る
知識や技術的なスキルは高いのに、英語やコミュニケーションスキルに苦手意識を持つ社員のために、英語のサポート体制を作りましょう。
そのためにも、導入目的に合った研修内容を採用するようにしましょう。
1) AIによる英会話トレーニング
AIの進歩は目覚ましく、英語知識のインプットに適している上、英語の話し慣れという点でも、疲れを知らず、いつでも相手をしてサポートしてくれるAIの活用は大きな力になります。
英会話のトレーニング、英語の発音に特化したトレーニングなど、様々なアプリやシステムがあります。
2) 質の高い英会話(英語コミュニケーション)サポート
社内の公用語を英語にするということは、単に日本語を英語に置き換えるということではありません。
英語のコミュニケーション様式を取り入れ「コミュニケーションの仕方を変える」ということです。
人とのコミュニケーションスキル、特に文化が違う人との英語によるコミュニケーションスキルは、様々な人を相手にトライ&エラーを重ねて練習する以外には育ちません。
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